CD不況ではあるが音楽業界は不況でない
ここ近年の音楽業界は不況と様々なところでいわれているが、CD不況ではあるが、音楽不況ではないという事実を分かりやすく説明している気になる記事を発見した。
毎年のCD・DVD・アナログ盤など音楽を記録した商品すべてがメーカーからどれくらい卸されるかの金額が解る、日本レコード協会のオーディオレコード総生産金額(注:日本レコード協会に加盟しているいわゆるメジャーレコード会社の数字。ディスクは日本盤のみ。)と、ラジオ・テレビで音楽が使われたり、カラオケで歌われると、その著作権を持っている人や会社に支払われるお金を表す、日本音楽著作権協会(JASRAC)が毎年公表している音楽著作権使用料の取り扱い金額をみることにより、音楽不況ではないという事実を知る事ができるという。
オーディオレコード(レコード)の生産額が戦後最高を記録し、ミリオンセラーアルバムが1年に28も出たJ-POP黄金時代といわれる1998年では、その金額は6075億円という。しかし、その後の10年後の2009年では2500億円弱に減ってしまい、4割に後退してしまった。このことから解るようにレコードはやはりとても不況であることが解る。
ところが作詞家や作曲家や歌手や演奏者などに支払われる著作権使用料にいたっては、98年度に約985億円だったのが、2008年には約1129億円に増えている。
CDが売れなくなってしまったことで、レコード会社や小売店は窮地に陥っているという状態だが、作詞家や作曲家などはむしろ潤ってきているということ解る。
これはCDが減った分、他の新しい音楽メディアが勃興して、さらに全体額を増やしているという事だ。それはビデオグラムとインターネットで音楽をデータとするインタラクティブ配信が急成長しているという事らしい。
1998年から2008年を比べてみるとオーディオディスクは396億1000万円から205億1351万円へと半分近く減少しているにも関わらず、インタラクティブ配信はなんと3億3000万円から88億9105万円へと凄まじい増加を見せている。ビデオグラムは76億7849万円から174億8166万円とやはり倍以上に増えているのがわかる。
しかし、iTunes Store等のインターネットで音楽を買う行為がそこまで普及しているとは思えないという意見が多いと思うが、CDに記録されているのと同じデータをインターネットの有線回線で買うというだけには限らない。
日本でのもっとも巨大なインタラクティブ配信は、着メロから、着うた、そして着うたフルと発展してきた携帯電話を端末とする音楽配信といわれている。iTunes Store型の音楽配信と、着うたフルを合計すると、インタラクティブ配信の半分近くになるそうだ。
98年から2008年という10年間にインターネット人口普及率は13.4%から75.3%に達している。
このことから、音楽を消費者に運ぶメインメディアがCDディスクからインターネットに交代し、その結果のCDの後退であり、音楽需要の後退でもなんでもないということがわかる。
この他にも、音楽需要が伸びていることの一つとして上げられていることが、コンサート産業がこの10年間で成長していることが言われている。
調査によると、音楽公演の市場規模は1225億円から1503億円へと増えているという。
成長の大きな一つが野外フェスティバルであるといわれている。たしかにここ近年の野外フェスティバルの量は凄まじい勢いで日本各地で増えている。
このことからCD不況ではあるが音楽業界は不況でないという事を解らせてくれる。しかし音楽関係の業界にとっては、まさに今が様々な転換期になってくる事は間違いなさそうだ。
以前はテレビ等でしか音楽に触れ合うことがなく、偏った音楽にしか触れる事が出来ない環境であったが、最近はインターネットを通じて、より様々な音楽に触れ合えるようになってきたという事は聞く側にとってはとても素晴らしいことである。
引用元記事(JBpress(日本ビジネスプレス)):
昨年「渋谷系」という言葉の発祥の地であるCD店「HMV渋谷店」が閉店した時も、大騒ぎだった。テレビ朝日が私のところに取材に来てくれたので、「CD が売れなくても音楽不況ではないんですよ」「音楽業界はむしろ活発になっています」と繰り返し強調したら、「えっ! そうなんですか!」と仰天されてしまった。
引用元URL:
CDが売れない、でも音楽産業は「活況」の理由 「レコード」よ、今までどうもありがとう JBpress(日本ビジネスプレス)
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